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椿山課長の七日間/浅田次郎 |

叩き上げの凄腕デパートマンで、若干オイリッシュな中年・椿山課長は、よりによって全精力を傾けた大セール初日に過労死してしまう。が、あの世の入園審査センターで彼は、腐れ縁の女友達に対し「邪淫の罪」をおかしたと宣告される。
覚えのない罪に、残してきた美人妻と幼い息子、痴呆の父親、売上達成に家のローン・・気になることが山積みで、このままあの世になんて行けないよ。
と、悶々と訴えた結果、生前のキャラとは真逆の39歳美女の身体を貸し出され、現世の心残りを後始末する羽目に。同じく、人違いで殺され、子分達の先行きを心配するヤクザの親分と、本当の両親を知りたかった小学生も現世に舞い戻り、生きていたときには気づかなかった人間模様や周囲のきもち、親子の情愛てんこ盛りの数日間を過ごすのだ。
そして、まったく関係なかった3人のエピソードが一本の糸に結ばれたとき、あの世の入口での怒涛のラストに向って、物語は一気に加速する。
*
この小説は昔、朝日新聞夕刊に連載されてました。新聞小説は開始数日だけ読む、という三日坊主の私ですが、「椿山課長・・」と宮部みゆきの「理由」だけは毎日しっかり読んでました。夕刊が届くのが楽しみで、配達の無いと日曜日はガッカリしてました。
特に好きなのは、縦横無尽に活躍する椿山課長の父親と腐れ縁の女友達。仮の姿で戻った椿山課長とは知らず、胸の内を語る場面。
「いい、ツバキさん(実は椿山課長)。この世には百の恋愛があるとする。でも、そのうち九十九は偽物よ。なぜかって、自分のための恋愛だから。
私は、百のうちにひとつしかない本物の恋をしていた。それはすべてを愛する人に捧げ尽くせる恋愛です。あの人のためなら命もいらない。お金も、誇りも、私自身の恋する心もいらない。」
とか、新聞広げて読んだ時からウルウルきた台詞だったし、
「泣くなよ、ツバキ。あなたがどこの誰かは知らないけれど、人間は「ありがとう」を忘れたら生きる資格がないんだよ。きょうはありがとう。私の愚痴を聞いてくれて。」
は、「ありがとう」がめっきり減った昨今、フムフム頷きたい言葉だった。
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書籍05.10.3更新
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