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「東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編」 |
ジャズマンの菊地成孔と大谷能生が昨年,東京大学教養学部で行なったゼミ「十二音平均律→バークリー・メソッド→MIDIを経由する近・現代商業音楽史」の速記本……ぢゃ落語か,講義録だ。いやこの本面白くてさぁ,仕事の合間に1回分(たぶん大学の講義だから90分くらいか)ずつ読んでたんだけど,最後は風呂にまで持ち込んでしまったよ。
この講義で菊地・大谷コンビは,タイトル(講義の方のタイトルね)の通り,話は18世紀に西洋音楽における圧倒的ヘゲモニーを獲得した十二音平均律(バッハの「平均律クラヴィーア曲集」が’有名。オレも手塚治虫の「ルードウィヒ・B」で読んだ),20世紀中葉にボストンにあるバークリー音楽院で教えられ始めたバークリー・メソッド,そしてこの講義の聴講生(どうも年間を通して東大生より偽学生の方が多かったらしい)に比べればオレのコレを読んでいる方がはるかに知ってる可能性が高いであろうMIDI(Musical Instrument Digital Interface)という三つを音楽の記号化における三大ピークポイントと位置づけ,これらをマイルストーン(これは文字通りの意味ね,マイルス・ディヴィスの名曲ではなく)として近代,そして現代の商業音楽史を概括しようとする。
そんなもんが面白いのかって? 面白いのだ。チャーリー・パーカー,バド・パウエルらのはじめた「ビ・バップ」が,それまでの音楽に対してどう新しかったのか。これを十二音平均律に則って書かれた楽譜で演奏されるジュディ・ガーランドの「エンブレイサブル・ユー」と,チャーリー・パーカーによる同じ曲を比較しながらきっちり理論的に説明してくれるのである。
いやあなた,高校1年の時にドルフィーの「ファイヤー・ワルツ」(「アット・ザ・ファイブ・スポット Vol.1」所収)にハマって以来30年近くジャズを聴いてるワタシだが,ビ・バップに関して(他もそうなんだけど)こんなにストンとよく解る説明を読んだのは初めてでんがな。他にもコルトレーンの「ジャイアント・ステップス」のどこがトミー・フラナガンをまごつかせたのかとか,コーダル/モーダルの正体など,目からウロコが落ちまくって掃除が大変。オレに「ファイヤー・ワルツ」を聴かせたヤブツカ君をはじめ,ジャズ好きみんなこれを読むべし。
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書籍06.11.9更新
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