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にんぎょひめ |

私が絵本にハマるきっかけとなった一冊です。
最初に読んだのは幼稚園生の頃だったか・・・
その時は、ラストをどうしても受け入れられなかった。
「泡となって消えました」って、そんなのないよ!
ものすごく悲しかったし、自分だったらあり得ないと思った。
幼い子供ではあったけど、思いを遂げずに死んでゆくことへの無常感は計り知れないモノだった。
それからはハッピーエンドのお話をたくさん読みました。
最後にちゃんと安心感を得られたし、背表紙を閉じた後ぐっすり眠ることも出来た。
でもなぜか、ときどき「にんぎょひめ」を開いてしまう。
何度読んでもちっとも納得行かないのけれど、私は毎回きちんと最後まで読む。
小学校も高学年になるという頃には、私の絵本たちは従妹の家にもらわれていってしまった。それからしばらくは「にんぎょひめ」のことも、読んだ時の気持ちもすっかり忘れていたと思う。
もっと大人になって再び絵本を買い集め始めた時、私の記憶に「にんぎょひめ」が蘇ってきた。
もう一度読みたい、と思ったけど、なにしろアンデルセンの超有名童話。さまざまな出版社からいろんな「にんぎょひめ」が出ているのはわかりきっていた。自分の記憶だけが頼り。
・・・だけど私の心配をよそに、あの頃の「にんぎょひめ」はすぐに見つかったんですな。なぜなら、いわさきちひろさんの絵、だったから。あの絵が、ちゃんと私の記憶に焼き付いていた。
青とオレンジと黄色と紫と、深い緑色が美しい。
彼女の絵は色づかいが好き。
やさしいのに少し悲しい、そんな絵だと思う。
再び最後まで読んでみて、私がこの絵本にこだわっていた理由がすこし理解った気がしました。
小さな私は、たぶん、ラストを拒絶しながら、同時にとても惹かれていたんだと思う。海に身を投げ泡と消えたラストシーンは、淡くやさしいオレンジに彩られ、朝日をまとった彼女の体は、無に還る平穏な輝きに満ちあふれ、そしてやはり少し悲しかった。
>>わたしは、こどもには、かなり早くから、
>>人生のあらゆる姿を見せるのが好きです。
-----曽野綾子さんのあとがきより抜粋。
恋・熱情・絶望・破滅・平穏
小さな私は、この気持ちを既に知っていたのだ。
それは驚くべきことだと思う。
あの頃の私が惹かれた情景に、今の私がまた足を止める。そのことに、ひたすら感慨を覚えます。
そして今も、あのラストシーンに魅了され続けています。
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