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『食いものの恨み』島田雅彦 (講談社文庫 し 33-4) |
『日本の戦争経験者は食いものの有り難みを知れ、とよくいうが、彼らはごく限られた食いものにだけ有り難みを感じているに過ぎず、料理や食材にはさほどのこだわりを持っているわけではない。だいたいそういう人は肉に対して素朴な憧れがあって、パーティの会場などではよくローストビーフのコーナーに並んだりしている。』
以上、この本の冒頭より引用。
エッセイ、わりと好きです。たくさんは持っていませんが。
こま切れの時間で読んでもスッと入りこめるし、
通勤時のバッグの中に入っている割合が高いです。
本自体がほどほどの厚さであることが多いというのも有り難い。
仕事帰りに書店でこの本を買って帰りの地下鉄の中で読んでいて、
上記の冒頭の部分でにんまりしてしまった。
1ページ目からこれか。
断定的な書き方をしているから
読む人によっては「ずいぶんきついことを」という印象かもしれないけれども、私はこういうふうに物事の枝葉をバッサリ払って本質の部分だけをすくい取る感覚というのが嫌いじゃないんだな。
その「ローストビーフのコーナーに並んだりしている」人達に対する
そこはかとない愛情(笑)が感じられると思うのは私だけか。
あと、島田雅彦を読むのが初めてだったので
あのきれいな小父様はこういう文章を書くのか。。という意外性もあった。
美味探求モノにありがちな「如何にも金に飽かせた贅沢」というえげつなさがないのは、作家自身の「食の根本は農耕・狩猟採集文明にある」という姿勢のせいかと思う。
食べるのが好きで、
上記引用部分でちょっとほくそ笑んでしまった方なら
きっと読んで損はない。
まさにおいしいエッセイです。
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詳細をみる 07.11.2更新
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