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ono-deluxeの日記
08.6.20
『空海の本』
学研から出ているブックス・エソテリカというシリーズはなかなか面白くて、いろいろ読んでいる。この本は、先日所要で高野山に行った際に買ったもの。あらためて空海という存在を意識するよいきっかけになった。
空海というのは不思議な存在である。何が一番不思議と言って、実在の人間の僧侶であったにも関わらず、まるで神仏にも匹敵するような広範な信仰と伝説を今に残している。僕が住む川崎にも川崎大師があるが、四国の八十八箇所も空海が開創したようなことになっている。なっているというのは変な言い方かも知れないが、確かに空海は四国生まれで四国で修行もしたが、と言って別に八十八箇所の寺がみな空海によって開創されたわけでは勿論ないし、そもそもこの本によると八十八箇所が開創されたとされる年には空海は京都にいたはずだということで、史実にも合わないのだそうである。そんなわけで、空海と四国八十八箇所との関係というのは、日本各地に残る空海伝説と同様に伝説の部分が多いようだ。その割に、四国遍路と空海は切っても切れない関係になってしまっている。
日本に偉大な僧侶は数多く、偉大な宗教者、偉大な宗教の開祖もたくさんいる。なのに、空海ほど伝説化し、神仏に匹敵する信仰を集めている存在も珍しい。ちなみに、宗教を離れて歴史物語として見ても、空海の生涯はなかなかミステリアスで面白い。中国留学に関する謎も面白いし、水銀と空海の関係を指摘する説もあるようだ。最澄と空海のドラマも、なかなかに面白い。いろは歌を作ったのも空海という説もあるが、これはさすがに俗説らしい。
いずれにせよ、まさに日本人離れしたスケール感の宗教家である。先日高野山に行った時に初めて知ったのだが、高野山にはさまざまな著名人の墓がある。織田信長も、明智光秀も、豊臣秀吉も、石田三成も、上杉謙信も、武田信玄も、墓は高野山にある。まさに恩讐を超えて高野山に集結しているような具合で、このような包容力もなんだかすごい。
そして確かに、高野山はいいところだった。世界遺産にも登録されたそうだが、確かに素晴らしい人類の遺産だと思う。けれど、遺産という言い方が少し気になるというか、もう終わったものを観賞するかのようなことになってしまうのは少し勿体ない。空海の破天荒とも言えるスケール感に見合うように、高野山はいつまでも時代に対してアクチュアルな存在でいてほしい。過去の「遺産」にしてしまうには、まだまだ勿体ない。
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